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書く癒し

幼い頃に置き去りにしたままの「小さな私」を癒し、自らを育て直すための自己観察記録

ひとつに戻った私

そのひとりの人間は、ひとつの身体を持ちながら、瞳に映る光景から、心は全く逆の方向をキョロキョロと見続けながら生きていた。

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強い私と弱い私。
光の私と闇の私。
上の私と下の私。

勝者の私と敗者の私。
奴隷の私と支配者の私。

それは…「父の私と母の私」

このふたりの間でただ震え、翻弄され続け、揺れ続けていた。

そうするうちに、私の心はふたつに引き裂かれ、ひとつの身体に、二人の心がすっかり入り込んでしまったようだった。

 

その二人はいつも対立していた。

その二人はいつも喧嘩していた。

その二人はいつも彷徨っていた。

その二人はいつも苦しんでいた。

その二人はいつも疲弊していた。

その二人はいつも争っていた。

その二人はいつも不満だった。

その二人はいつも苛立っていた。

その二人はいつも孤独だった。

 

そして、その二人はお互いの「正しさ」という武器を捨てられずに戦争を続けた。

邪魔者を消そうという闘争心むき出しで、血みどろの戦い。

そのためには子供も利用することも厭わず、その戦いは激しさを増し、留まるところを知らなかった。

子供だった私がどちらかの生贄になれば、どちらかが敗北し、全員が破滅する最悪のゲームだった。

あの頃の私はただ「もう止めて!」と泣き続けるしか方法が分からない弱い存在を演じていた。

そして、弱い私はいつも、権力と支配の争奪戦を続けるこの家庭に怯え、この二人の機嫌を伺うことで頭がいっぱいだった。

しかし、その一方で、まるで透明人間のようにその二人を冷静に見つめ、このゲームから抜け出したいと願う「別の私」がひっそりと存在していたことに、あの頃の「弱い私」は気づく余裕がなかった。

私はあの頃、生命を維持するにはまず、この二人からの承認を得ることが先決だと判断し、いつしか二人からの承認を得ることで頭がいっぱいになっていた。

そんな状況は、その冷静に見つめる第三の私をずっとかき消し続け、無視し続けていた。

それでも、私が望む結果は、この家庭ゲームの中にはないことをいつしかから既に知っていたのだった。

そう、小さな私はきちんと知っていたのだ。

小さな私は諦めず、放棄せず、粘り強く黙ってその機会を待っていた。

二人のパワーにかき消されそうな中、必死でこのゲームから脱出する機会を待ち続けた。

そして、大学の頃、私はこの家庭からエスケープし、このゲームの登場人物を殺そうと試みた。

あれから10年以上が経つが、それでもまだ、このゲームは水面下で続けられていた。

いや、そして、これからも彼らは死ぬまでこのゲームを止めることはないのだろう。

この共依存というゲームを続けるか、死ぬかどちらかしかないと思っているのだろう。

そして、私はずっと、私の前に立ちはだかる二人をモデルにし、どちらかになろうとしていた。

私には「そのどちらかしか選択肢がない」のだと思い込んで、そしてその思いに苦しめられていた。

本当のところは、そのどちらかは私のどちらでもなく、また、そのどちらも私だったのかもしれないが…。

いずれにしても、あの冷静な私は、そのどちらかの道にも私が望む幸せはないとずっと知っていたからだ。

そして、気づけば「第三の私」は遠く遠く第三の国を選ぶことになった。

全てからエスケープしたなんの思い入れもない世界。

私はその世界の中で変容していった。

私はこの新しい世界では、生まれた時に与えられた名前を呼ぶのをやめ、その土地の言語の、自分が気に入ったの名前を付け、大好きなパートナーとその名前を呼び合い、過去の私を誰も知らない場所に好きな時に好きなことだけをした。

すると、過去から全く解き放たれた感覚がやってきて、限りなく自由な気持ちに包まれた。

あぁ、私はこれがよかったんだ…。

ずっと残ってた喉のつかえがスーッと通り過ぎるようだった。

すると、私の記憶から過去の景色はすっかり消え去り、新しく生まれた空間には、生まれて初めて見る素晴らしい景色が限りなく続いていた。

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とても広く大きく無限に広がる空が私を優しく迎えてくれていた。

いや、この空を見るために私がこの場所を選び立ったとも言えるのかもしれない。

大きく静かに私を包んでくれているその自然を見ているうちに、もうそれはどっちでもよくなってきた。

そして、とても静かな安心し切っていた小さな私に尋ねた。

「あなたは、私は…、私たちはどんな空が見たいのだと思う?」

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全てが許されている自由な空間。

全ての役割から解き放たれた空間。

小さな私が心から安心する静かな空間。

小さな私が心から愛する人と分かち合う静かな時間。

小さな私には「血縁」や肩書きや形にしがみついたり縛られる様子は全くなかった。

むしろ、そんな形からは全て解き放たれたくて、限りなく自由を与えてくれる赤の他人との結婚を選んだのかもしれない。

小さな私が寸分の妥協もなく、自由に心が響くものや人を私が選び、そしてその空間で平和な時間を過ごしたがっていた。

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小さな私はもう自由に羽ばたいていた。

とても力強く、とてものびのびと気持ちよく羽ばたいていた。

すると、もう私はすっかりひとつの私に戻っていた。

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そんなのびのびと生きる自由な私を見た「あのふたり」も、いつしか私と同じ方向を向き始め、あのゲームを止めてしまっていた。

すると、向かい風だと思っていたあの二人は、突然、追い風のように私にエネルギーを与えてくれていた。

私たちは全部、ひとつだった。