書く癒し

幼い頃に置き去りにしたままの「小さな私」を癒し、自らを育て直すための自己観察記録

死と再生

日々の生活の中で、知らぬ間に、なんとなく増やし、そして被り続けていた役割という仮面。

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「いい母・父」

「いい娘・息子」

「いい妻・夫」

「いい嫁」

「いい女」

「いい子供」

「いい家族」

「いい学生」

「いい友達」

「いい社員」

「いいトレーナー」

「いい上司・部下」

「いい○○国の人」

「いい人」

認められたいという欲望の底なし沼。

その甘い甘い誘惑で、私は無数の仮面を手にし続けていた。

その泥沼に潜ってみると、自己の存在否定や劣等感や無価値感が、徹底的に自分を握り潰そうという暴力的なエネルギーが渦巻いていた。

そんな恐怖のエネルギーを避けるように、必死で人の目から見た、無数の「いい仮面」をどんどんと増やし続けた。

そして、それをクルクルと、そして代わる代わる、そして上手に被り続けた。

そんな日々を淡々と生き続けた。

毎日、毎日、毎日、毎日…。

絶え間なく被り続ける毎日。

そのひとつひとつの仮面には、無数のプログラミングが事細かに、そして、それはとても複雑に組み込まれていた。

たとえば「いい子供の仮面」のプログラミングはこんな禁止事項だった。

親には絶対口答えをしないこと。

親の言うことには従うべきだ。

親からの暴力にも黙って過ごす。

親が嫌がるようなうるさくすることは絶対にやらない。

家庭内の揉め事は人には絶対言わず、両親が気に入るように行動する。

気に入ってもらうには、両親の行動をよく観察する必要があった。

そんな風に人の目を気にして、顔色を伺うことを覚えるようになった。

習慣とはなんとも恐ろしいもので、その仮面を被り続けるうちに、そのありとあらゆる仮面に上手に合わせて生きることができてしまう。

次第に、そのため「だけ」にエネルギーを費やすようになると、とてもナチュラルに使いこなせるようになっていった。

それはとても完璧に人を騙せる演技。

完璧に演じれば演じるほど、同時に私を闇に葬り、失っていく過程でもあった。

私は今、その獲得し続けた無数の仮面を部屋中に並べてただ、ジッと睨むように見つめていた。

その仮面を見ているのは、静かにシクシクと泣き続けてる子供だった。

その子は、とても疲弊した様子でこう口を開く。

「一体いつ、私はこの仮面を外せるの?」

「一体、私の順番はいつ来るの?」

「私は仮面を被らずにことはダメなの?」

「一体、私はいつ私でいられるの?」

「一体、この仮面は必要なの?」

「この、いいって、一体、誰にとっていいの?」

「もうこんな仮面、全部捨てたいよ」

「ねぇ、もうこの仮面は嫌だよ…」

その子供は涙が枯れるまで泣き、それが終わると暴力的な怒りのエネルギーに火が着いた。

数十年来の不完全燃焼の怒りの火が今、メラメラと私の中で燃えたぎる。

すると、心の中で、この集め続けた仮面を思い切り私の手で叩きのめしたくなる衝動に激しく揺さぶられた。

すると、突然、この恐ろしいほどの暴力的なエネルギーが私を支配した。

私は抑えることなくひたすら、この拳で殴り続けた。

私はそれだけでは満足できず、ハンマーを手に取った。

そして、ぶっ壊して、ぶっ叩いて、そしてぶっ殺そうとした。

気が狂うほど、叩きのめした。

ふと私の拳を見ると、血にまみれている。

けれども、不思議なことにこの流れている血を見ると安心し、痛みなんて全く感じなかった。

今までの私への仕打ちに比べれば、こんなものは痛くも何ともなかった。

今まで私が流した無数の心の血に比べれば、こんな血なんて、どうってことはなかった。

私はこの身体を捧げてでも、叩きのめし、守りたかった。

そのために、私は完膚なきまでに叩きのめした。

そして、じっと粉々になったその仮面たちに火をつけた。

その炎はすぐに燃え広がり、とても激しく炎を上げた。

その怒りの炎をただ、じっと見つめる。

すると、気がつけば、私の身もまた、この炎に身を投げた。

初めはとても熱くて、痛くて、苦しくてもがいた。

その炎が私の全身を包んだ。

私は恐怖でおののき、死んでしまいそうだった。

いや、もう死んでしまいたかったのだ。

死んでしまおうと思った。

早く死にたかった。

早く殺したかったんだ。

この仮面の息の根を、私の手で、止めたかったのだ。

私は横たわり、この炎に身を預けた。

…果たしてどのぐらい時が経ったのだろう。

暫くすると、少しずつ身体が暖かくなっていくのを感じる。

すると、まるで初めて「小さな私」に暖かなスポットライトが当たる。

その光に包まれると、私が生まれ変わっていた。

この私に戻っていた。 

元に戻っていたのだった。

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小さな私が全身全霊で心と身体を感じ、ただこの輝く存在は、ただその存在が喜びに満ち溢れていた。

役割という仮面が完全に剥がれ、完璧なまでに自由になっていく。

それは、私がリセットされた死と再生の儀式。

それは、私が「空」っぽだったことを思い出すための儀式だった。

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そう、私は空っぽ。

私は、なんでもない、真っ新で、そして無限に広がる空。